【文】ブラジル北東部ペルナンブーコ州の明るい音楽&ダンス“フレーヴォ/Frevo”とは

Brazil ブラジル

こんにちは。ぴょんぴょ子です。


ブラジルは今年のカーニバル期間が終わり、そろそろ街が穏やかになってくる頃です。

カーニバル期はブラジル各地で其々の土地の音楽の祭典が行われます。


日本で知られているのは、リオやサンパウロのサンバのカーニバルなので「え、カーニバルってサンバだけじゃないの??」と思われる方も多いはず。

サンパウロのサンバカーニバルの様子
サンパウロのサンバカーニバルの様子

そうなんです、サンバだけじゃないんですよ。


今回は、そんなサンバではない音楽&ダンスの一つ、ブラジル北東部(ノルデスチ)にあるペルナンブーコ州で生まれた音楽&ダンスフレーヴォ / Frevoについて、簡単にご紹介したいと思います。


1.フレーヴォの誕生

フレーヴォ(日本語表記だとフレーボとも) は、ブラジル北東部のペルナンブーコ州の州都、ヘシーフェ / Recife(日本語表記だとではレシフェレシーフェとも)にて誕生しました。

19世紀末から20世紀初頭に、軍隊と自由になった奴隷とが混在する中で生まれた音楽とダンスだと言われています。

その為フレーヴォのリズムは、ドブラード(軍隊行進曲)、マルシャ(マルシーニャ、マーチ)に似ており、ダンスはカポエイラに似ています。


フレーヴォの名前の由来は”興奮する、群がる”、という意味のあるferverが間違って伝わり、frevoとなったそうです。

1908年の雑誌にFrevoの名が使われていることから、フレーヴォとして確立してからの歴史は100年以上も続いていることになりますね。


特徴をもう少し掘り下げてみましょう。


2.音楽の特徴

基本的にアップテンポの曲が多く、ブラジル音楽に多いリズム楽器だけではなく管楽器によるメロディーがあるのが特徴です。

ドブラード / dobrado(軍隊行進曲)、マルシャ / marcha(マルシーニャ、マーチ)以外にも、マシシ / maxixe、ポルカ /polka、等をベースにしたリズムと言われています。

ブラジル北東部ペルナンブーコ州の明るい音楽&ダンス“Frevo”の魅力!

そんなフレーヴォは、1930年代に大きく3つの種類に分けられ、定義づけられたとされました。


①フレーヴォ・ジ・フア / Frevo de Rua

直訳すればストリートフレーヴォ、所謂一般的なフレーヴォはこのFrevo de Rua を指します。

タロールと金管楽器で成す楽器隊(ファンファーハ / Fanfarra)のみで構成され、歌はありません。

ダンサー(ダンサリーニョ / dançarinho)がよく一緒に踊っているのはこのFrevo de Ruaです。


Frevo de Ruanoで有名な曲は、Matias da RochaとJoana Batista RamosのVassourinhaです。

https://youtu.be/TRtt8lW0wJE

これが聴こえてくると、あ、フレーヴォが始まるゾ!という気持ちになります。


②フレーヴォ・カンサォン / Frevo Canção

名前の通り、歌のあるフレーヴォです。

全てがアップテンポではなくスローテンポのものもあります。


有名な曲としてはのHino de Elefante等が挙げられます。

https://youtu.be/RGQ7-fSKVkU


③フレーヴォ・ジ・ブロコ / Frevo de Bloco

Frevo de Blocoにはタロールと金管楽器に加え、木管楽器(クラリネット等)、打楽器(スルド、カイシャ、パンデイロ等)や、弦楽器(ギターやカバキーニョ、バンジョー等)が加わります。


イメージはこんな感じです。

https://youtu.be/cyrIim_uZGI


3.ダンスの特徴

フレーヴォのダンスは、土台はカポエイラですが、次第にバレエ、コサックの影響を受けたともいわれています。とてもアクロバティックなダンスでそのステップ(パッソ / passo)の数は100を超えるといいます。

アップテンポの曲に合わせて動く為、アクロバティックでありながらも非常に軽快なステップで、見ていて踊りたくなる (けど追いつかない) ダンスです。


また、ダンサーがカラフルな衣装をまとって、赤・緑・青・黄の4色でできた、ソンブリーニャ / Sombrinhaと呼ばれる直径50センチ程度の小さい傘を持って踊るのも特徴的です。

ブラジル北東部ペルナンブーコ州の明るい音楽&ダンス“Frevo”の魅力!

傘を持って踊る背景には、フレーヴォ誕生当時、カポエイラを禁止されていた人々が軍などの敵から身を守る武器として傘を持ち歩いており、傘を持ったまま踊っていたため、との説があります。

確かに当時の写真を見ると、ダンサーが普通サイズの傘を持っていました。


4.カーニバルでフレーヴォを見よう!

さて、そんなフレーヴォを生で見ることができるのは、ペルナンブーコ州のカーニバルです。

ヘシーフェや隣町のオリンダ / Olindaでは、カーニバル期にフレーヴォマラカトゥ / Maracatuといったペルナンブーコ州発祥の音楽を始め、ブラジル音楽に乗せたパレードが各地で繰り広げられています。


リオやサンパウロのサンバのカーニバルと異なり、フレーヴォにはカーニバル会場(サンボドーロモ/ sambódromo)なるものはなく、

演者のパレードの後ろを一般人が踊りながら一緒にパレードしちゃうような、参加型パレードです。


では具体的にどこへ行くのが良いのでしょう。


①ガーロ・ダ・マドゥルガーダ /Galo da Madrugada

最も有名なのは、カーニバル期の土曜にヘシーフェで開催されるガーロ・ダ・マドゥルガーダ /Galo da Madrugadaとよばれる巨大パレードです。

朝から夕方にかけて長期間、40を超える団体や歌手がパレードします。


パレードコースはパレード日が近づいた頃にネットで見ることができますが、ご参考までに2020年のパレードコース(ぴょんぴょ子調べ)を載せます。

2020年Galo da Madrugadaパレードルートイメージ
2020年Galo da Madrugadaパレードルート
(イメージ)


この巨大規模でのパレードは世界で群を抜いているようで、1994年にはギネス記録にも認定されており、2020年には200万人以上もの参加者が集まりました!すごい!!!

ブラジル各国から、世界各国から、一斉にへシーフェに200万人が押し寄せるわけです。

もう辺り一面に人!、人!!、人!!!、なんて状態です!

ブラジル北東部ペルナンブーコ州の明るい音楽&ダンス“Frevo”の魅力!
橋やボートでGalo(雄鶏)の像の周りに群がる人々


ここでカンが鋭ければお気づきかと思いますが…

そうなんです、

残念ながらスリが多いんです!


具体的なスリ件数をご紹介できず申し訳ありませんが、ブラジル人のほとんどが声を揃えて

「スリが多発する、気を付けろ」と言います。

地元のUberの運転手さんからは、「財布や携帯はもってのほか、ネックレスや腕時計、帽子まで盗られることもある」

と言われ、厳重警戒を余儀なくさせられました(でも忠告まじ有難たい)。


ちなみに彼や宿の方からは、カマロッチ/ Camarote (有料VIP)専用会場でのライブ観戦を勧めてくれましたが、どうやらフレーヴォではなく、ファンキ /funk等のライブばかりだったので参加を断念しました。


②ヘシーフェ・アンチーゴ / Recife Antigoの南側

ブラジル北東部ペルナンブーコ州の明るい音楽&ダンス“Frevo”の魅力!

植民地時代の名残で、昔のヨーロッパの街並みが色濃く残るヘシーフェの歴史地区があります。それは、ヘシーフェ・アンチーゴ/ Recife Antigoです。


ここでもまた、フレーヴォを始めとするブラジル音楽のパレードが単発的に発生します。

この地区の南側に数か所舞台があり、ステージでショーという形でパフォーマンスをした後、そのまま舞台から降りて、その団体だけでパレードを成す、という形式です。

ブラジル北東部ペルナンブーコ州の明るい音楽&ダンス“Frevo”の魅力!
Maracatu Nação Pernambuco による
フレーヴォのステージパフォーマンス

そのパレードの後ろには、やはり一緒に踊りたい観客がゾロゾロと付いてパレードの列を成して行くのです。

Galo da Madrugadaとはうってかわって、乳児も含む子供が多く、治安が良く感じました。

携帯カメラをがっつり掲げて撮影する人の数も数倍多いです。

お陰さまで、ぴょんぴょ子がずっと憧れてきた生フレーヴォダンスを肉眼で見ることができ、且つ、カメラに収めることができました!!

Maracatu Nação Pernambuco による
フレーヴォのステージパフォーマンス
フレーヴォ&マラカトゥ

いやー、超かっこいいですね!一緒に踊ってみたくなります!


というわけで、ぴょんぴょ子個人的には②ヘシーフェ・アンチーゴでの観賞をお勧めします。

正直に申し上げてぴょんぴょ子はチキンすぎたので、Galo da MadrugadaはGalo(雄鶏)の像だけ見て退散してしまいました。ぴよぴよ


5.もっとフレーヴォについて知りたい!

なかなかフレーヴォの情報って載ってないですよね。

「もっと知りたい!」と好奇心が湧いたら、是非ヘシーフェ・アンチーゴにあるフレーヴォ博物館を訪れてみてください。

ブラジル北東部ペルナンブーコ州の明るい音楽&ダンス“Frevo”の魅力!

1900年からのフレーヴォの歴史や、Galo da Madrugadaの組み立て背景、過去のフレーヴォのチームのバンデイラ (旗)等を見ることができます。

入口にはカフェもあるので、ヘシーフェ・アンチーゴの街並みを観光する際に、一息つくのに寄るのもいいかもしれません。


また、タイミングが合えば、無料でフレーヴォのダンスレッスンを体験することができます♪(入館料は必要)

ポルトガル語でのレッスンですが、明るくわかりやすく教えてくれるので、機会があれば受けてみる価値は大アリです!

フレーヴォ博物館

ムゼウ・ド・フレーヴォ / Museu do Frevo
【住所】146, R. Barão Rodrigues Mendes, 96, Recife – PE, 50030-180

補足①:Galo da Madrugadaがサンパウロにやってきた!

なんと!2020年、40年以上ものGalo da Madrugadaの歴史において、初めて彼らがサンパウロにやって来ました!

参加団体も10程度と、本場よりかなり縮小版でのパレードでしたが、それでも観客も合わさってすごい盛り上がりようでした!

Clube das Máscarasによる
サンパウロのイビラプエラ公園でのフレーヴォのパレード

場所は、Recifeと違って街中の道路ではなく、イビラプエラ公園の中の道路をパレードする形でしたが、

カーニバル期間の最終日(要は本当のカーニバル祝日)の朝9時スタートにも関わらず、大勢が詰めかけていました。

今年初の試みだからか、まだ4色のフレーヴォ特有のソンブリーニャを売る出店はありませんでしたが、それでもソンブリーニャを持参したり(もちろんぴょんぴょ子も!)、ペルナンブーコ州の州の旗のデザインのシャツを着たりするフレーヴォファンやペルナンブーコファンはたくさんいました。


どうか来年以降もサンパウロで開催されますように!!


補足②:日本でフレーヴォを見るには…?

ぴょんぴょ子が知りうる限り、日本のブラジル人街こと、大泉町にFrevoを踊れる人がいるそうです。

日本で活動する日本人主体のフレーヴォ団体を存じ上げず、もしご存じでしたら教えてください。お願いします!


フレーヴォそのものではありませんが、フレーヴォのステップの1つ、チゾーラ/ Tesoura(意:はさみ)に似たステップをサンバで踏んでいる団体(ウニアン・ドス・アマドーリス)は見たことがあります。

https://youtu.be/SErSa5-qqfE
3:30~をご覧ください

ダンサーだけでなく、バテリアも一緒に演奏しながらこのステップを踏んでいる為とても印象深いです。

彼ら曰く、”アゴゴステップ”という名前で呼んでいるらしく、30年以上もこのステップを披露しているそうです。


補足③:ペルナンブーコ州のもう一つの代表的音楽、マラカトゥ

ちょこちょこと上でも触れてましたが、ペルナンブーコ州にはフレーヴォの他にももう1つ有名な音楽があります。

それはマラカトゥ/ Maracatuです。


タロールシェケレアゴゴが独特のリズムで混ざり合う中、一際目立つアウファイアという大太鼓が

デー、エデーエデー、デー、という重低音をきかせる(他にも色んなパターンがありますが)

アフロブラジル音楽です。

マラカトゥもフレーヴォと同様にノルデスチ音楽(北東部の音楽)として親しまれ、このカーニバル期間にへシーフェやオリンダでパレードやステージパフォーマンスで見ることができます。

マラカトゥは日本でも活動団体があるので、日本でもパフォーマンスを見る機会がありますよ⭐︎


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以上、フレーヴォ(とちょこっとマラカトゥ)のプチご紹介でした!

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