【体験談】ブラジルで流産手術した話②MVA(手動真空吸引法)手術

Brazil ブラジル

ボンジーア!サンパウロ生活を満喫中のぴょんぴょ子です。

ちょっと前にブラジルのサンパウロにて流産の手術をした際の体験談を、3回に分けてご紹介します。

本記事は②/3記事目で、流産手術を行った際の話を中心に書いています。①/3記事目は流産と診断されてから流産手術確定に至るまでを、③/3記事目では術後の話を追々紹介して参りますので、そちらも併せてご参照ください。

同じような思いをする人がいないことを願いますが、万が一同じ経験をこれからされる方の為に、少しでも参考になればと思い書きました。なかなか周りに相談し辛い内容であり、情報もあまり出回っていないので、ぴょんぴょ子の事例がお役に立てたら幸いです。

※予めお断りを入れますと、ぴょんぴょ子は医療従事者でなければ、医療知識もゼロです。こちらで紹介しているのはただの体験談であること、ぴょんぴょ子のポル語の解釈ミスも含まれている可能性もあること、どうかご了承ください。

流産手術を行う病院

クリニックでは流産の手術を行える程の器具を揃えておらず、専用の病院での手術が必要になると言われました。手術場所は好きな場所を選んでいい、と言われたものの候補など念頭にある訳ではなく、おすすめを聞くしかありません。

ぴょんぴょ子のクリニックの担当医のおすすめは下記2箇所でした。

  1. Santa Joana
  2. Pro Matre

2.のPro Matreはサンパウロ在住の日本人ママさんも出産時に利用していることが多く、出産見舞いに訪れたこともあり清潔感があることも見て感じていました。技術の高低はわからなかったので、安心感がよりある方を、ということで2.のPro Matreを手術場所として選びました。

Pro Matre

R. São Carlos do Pinhal, 139 – Bela Vista, São Paulo – SP, 01333-001

後に知りましたが、2. のPro Matreは1.のSanta Joanaの子会社のようです。なので、もしかしたら両院の技術の高低差はほとんどないのかもしれません。

手術の日程

最後の超音波検査の日、クリニック医師からは「明後日の午前、手術をしましょう。その日の夕方には帰れるようになるとは思いますが、日帰り入院です。受付から病院へ予約を入れますので、詳細な時間が確定次第連絡します。」と伝えられました。

その日の午後、クリニックの受付から手術に関するメールが届き、内容を読んで仰天しました。

手術の日程が、翌日、つまり医師から言われていた日程より1日早い日程になっていたのです。

病院側の空き状況の問題もあったのでしょう。念の為電話でも日程を再確認し、手術は翌日行われることになりました。妊娠週数でいえば、11週目にあたる日でした。

ぴょんぴょ子本人が無職だから良かったものの、日程調整は臨機応変に行える状況にある方が良さそうです。また、後述しますが、全身麻酔が施される為、付き添い人が必要になります。付き添いをお願いする相手にもその日程を確保する必要があるので、手術の可能性が見えてきたら常にコンタクトを取れる状態にしておくのをおすすめします。

流産手術の方法

流産の手術には2種類あるようです。

  1. 搔爬法(Curetagem)
  2. 吸引法(Aspiração)

(※手術の内容について詳しくは、これらの手術を取り扱っている病院やクリニックから提供されている情報をご確認ください。ブラジルの病院の情報では日本語での紹介は見つけられませんでしたが、日本の病院のサイトでは、当たり前ですが、日本語での説明が読めます。)

ぴょんぴょ子の場合は、選択肢が与えられる訳でもなく、医師の判断により吸引法、中でも手動真空吸引法による手術となりました。

ここで小咄を挟むと、実はぴょんぴょ子、手術に至る直前まで、搔爬法なのか吸引法になるのか曖昧でした。

というのも、クリニックでは医者から“Aspirar(吸い取る)”という言い方をずっとされており、吸引法による手術なのだと理解していたのですが、Pro Matreから送られてきた書類に記載されている手術名が“Curetagem”になっていたのです。実際にPro Matreに着いてからも「あぁぴょんぴょ子さん、Curetagemの手術と入院ですよね、はいはい」といった形で事が進んでおり、会話内にどこにも吸引法の要素がありませんでした。

もちろん、手術前に「どっちなの?」と聞けるタイミングはたくさんありました。が、ぴょんぴょ子、繊細なようで怖いことは考えないようにするタイプで、「手術始まってから怯えればいいや〜」なんて思っておりました。結局、手術室に搬送される間に看護師さんから簡単な手術の流れを教えてもらい、その際に「AMIUのキットを利用する」という言葉が放たれ、ようやく吸引法(その中でも手動式真空吸引法)なのだと知りました。

AMIUとは、Aspiração Manual Intra Uterinaの略語で、日本語ではいわゆる手動真空吸引法を指し、英語ではMVAと呼ばれれているそうです。

手術の見積書にはAMIUキット代も含まれていた(ちなみに但し書きとして“AMIUキットを使用しない場合は見積額から10%オフ”と書かれていました)為、AMIUという単語は事前に調べることができました。

これらの経験から推測するに、流産手術を総称してCuretagemという言葉が使用されているのかもしれませんね。あくまでぴょんぴょ子の推測ですが。どっちなのだろう?と不安になったら聞くが吉です。

ちなみに、“事前処置”なるものを施すケースもあるそうです。クリニックの担当医からは、「今回は多分不要だけどもし万が一事前処置が必要になった場合は前日から入院が必要なので覚悟するように」と言われていたものの、結果的にぴょんぴょ子の場合は不要でした。

手術前の注意事項、入院時の持ち物

クリニックから事前に知らされた注意事項は、下記でした。

  1. 手術時間の3時間前までに到着し、受付で支払いを済ませること
  2. 同伴者には手術時間の2時間前に到着するように伝えること
  3. 手術前8時間は、水分も食料も摂取不可の完全断食jejum absoluto必須
  4. 身分証明書、入院申請書、諸々検査結果、保険関連書、PCR検査の陰性結果を提示すること
  5. その他持ち物として、衛生用品、ビーサン、パジャマや替えの服
  6. 医療チームとコミュニケーションを取り、麻酔士にはアレルギーの有無も伝えること
  7. 以下のことは禁止
    1. マニキュア等爪の表面が確認できない状態
    2. クリーム類や化粧の使用
    3. アクセサリー等を見にまとうこと
  8. 脱毛は不要

この4.で書かれているPCR検査の陰性結果ですが、この情報が知らされたのが手術日前日であった為間に合わず、その旨を事前にPro Matre側に連絡したところ、幸運なことに免除となりました。

ちなみに、5に書かれている衛生用品、とは歯磨きセットやシャンプー類のことを指していました。Pro Matreの受付にてそれらの一式セットをプレゼントされたので、家から持っていかなくても済みました。

ビーサンは、入院する部屋にスリッパがないので、それの代わりとして便利なのだと思います。

入院といっても大抵の場合は日帰りで退院できるので、パジャマや替えの服装を利用することはありませんでした。手術後にベッドに横になって休めるのですが、その間にパジャマに着替える元気もなく、退院時間までは、手術を受ける際に着た使い捨てのスケスケガウンのような物をずっと着たまま布団にくるまって過ごしました。

一番辛いのが、3.の断食(jejum)です。麻酔の関係で、水分補給も含めて手術前8時間は禁止となります。めちゃくちゃ喉が乾きます。また、手術当日に、最後に行った飲食の時間を聞かれるので、水分、食事共に最後に口にした時間を覚えておく必要があります。ちなみにぴょんぴょ子の場合は、12時間を超える断食時間となってしまった為、転倒(queda)するリスクが高いとされ、そのリスクを目視できるような紫色の腕輪をつけることになりました。同伴者であるぴょんぴょ夫にも患者のリスクが伝えられ、患者の行動を常に注視するよう先約書にサインをさせられていました。

入院個室の様子

全室プライベートで1番安い部屋に半日泊まりました。

部屋には患者用ベッドの他、テレビ、バスルーム(トイレ、シャワー、洗面台)、冷蔵庫、金庫、ソファ、デスク、洗面台(バスルームのとは別)が備わっており、同伴者もくつろぐには十分な広さがありました。

Wi-fiも患者1名につき2台のデバイスが繋げられるようになっていましたが、Sim無しタブレットでネットフリックスを視聴するには不十分な弱さでした。

吸引法(MVA)の手術の流れ

看護師から教えてもらったざっくりした流れは以下です。

  1. まず麻酔
  2. AMIU(MVA)キットで吸引手術。所要時間10−15分程
  3. 1時間程で目が覚めるので、入院室へ移動・待機
  4. 問題なければ夕方退院

この流れは手術室まで車椅子で運ばれる際に、質問して初めて教えてもらいました。気になる方はもっと早めに質問しておくと良いかも知れません。聞けるタイミングはいつでもあります。

手術当日全体の流れ

長くなりましたが、ぴょんぴょ子がPro Matreに到着してから手術を経て退院するまでの流れを載せます。手術自体の流れは、ぴょんぴょ子の意識がある間の出来事しか記述していませんが、11:00前後をご参照ください。

8:00 Pro Matre到着、受付(ぴょんぴょ夫は支払い)

8:20 受付完了、待機

8:40 看護師に呼ばれ、血圧測定や体重等の確認、事前検査の書類等を提出(ぴょんぴょ夫は入院の個室へ直接移動)

9:00 入院の個室へ到着(ぴょんぴょ夫と合流)

9:10 入院の個室を担当する看護婦さんが登場。本人確認と再び血圧測定や体重・身長の確認を行った後、10:30までに手術着(使い捨てのスケスケガウンのような物)に着替えるよう言われる。それ以外は個室内でフリータイム

10:40 手術の看護師が車椅子を持って迎えに来る。手術着の上に更に水色の肌襦袢のような物をおり、靴と靴下を脱ぎ、生ゴミネットのようなカバーを足につけ、渡された新品のマスク(家からつけてきた不織布マスクよりも薄手のマスク)に付け替え、車椅子に乗り、手術室へ移動

10:50 手術ゾーンに到着(ぴょんぴょ夫は手術ゾーン扉外で待機)。多岐に及ぶ本人確認

11:00 手術開始時刻。

  • 手術室に入室
  • ドラマや映画でも見たことのないような大量の医療機器に囲まれた、明るくて清潔感があって50m2はありそうな巨大な部屋に圧倒される
  • 部屋には麻酔士1名(クリニックが手配)と恐らく看護師が3名(Pro Matre側の関係者)
  • 濃厚な顎髭がマスクからはみ出た麻酔士の自己紹介から始まり、薬のアレルギーの有無を確認される。明るいベテラン看護婦に水色肌襦袢を脱がされスケスケガウン一枚の状態になり、支えられながら手術台に横になる
  • クリニックの担当医が到着。見知った顔に出会えて安心し、ブラジル人お決まりの挨拶「Tudo bem?(調子はどうだい?)」に対しいつもの癖で「Tudo bem(元気!)」と返してしまう(本当は緊張し不安一杯で、何よりお腹も空いて喉がカラッカラだというのに)
  • 麻酔士に右の甲に針を刺すので右腕を横に広げるよう言われた後、看護婦に右肘裏に麻酔針を打たれ、不意打ちを受ける。血液検査の針より痛く感じる
  • 同時に左腕を広げて血圧計測。上から見ると磔にされたキリスト像のような姿になる
  • マスクを外され、麻酔薬だか酸素だかを送るチューブを鼻に付けられる
  • クリニックの担当医から、「大丈夫だからね」と励ましを受け、「ありがとう」と返すも、自分がマスクを外した状態なので申し訳ない気持ちになる
  • いつの間にか天井がグルグルとして見えきて、Netflixドラマ『セックス・エデュケーション』1−3のメイヴもこんな感じだったな〜、とふと思い出す
  • 「麻酔がだんだん効いてくるからね〜」という声に「OK」と明るく返したものの、このまま意識を失わないまま手術が始まってしまったらどうしようという不安に駆られるも、いつの間にか麻酔にかかっていた
  • 12時過ぎ 手術台の上で、毛布が口まで覆い被さった状態で目が覚めた。右腕には針が刺さった状態でテープで固定されていたが、チューブは麻酔薬から切り離されていた。「終わったの?」と聞くとどこからともなく「終わったよ」と返って来たのを耳にした後また眠ってしまう
  • 「ぴょんぴょ子!無事終わったからね!」とクリニックの担当医に起こされる。お礼だけ伝えて眠気に負ける

12:23 また目が覚め、思い切って現在時刻を聞いた後、また眠気が来て寝てしまう

  • その後ウトウトしながら一度手術台から搬送用ベッドに移り変えられるも、直ぐに眠気が訪れ寝てしまう
  • 寝たり目が覚めたりを繰り返す

13:05 ぴょんぴょ夫が状況を看護師に聞いたところ、あと10分で終わる、と伝えられる(実際には手術はもう終わっていたのにー。)

13:30 再びぴょんぴょ夫が問うと、手術は完了して移送待ちと伝えられる

13:45 ぴょんぴょ子、マスクを付けられ、手術室から入院の個室へベッドに横たわりながら移送される。ぴょんぴょ夫と合流

13:50 個室に到着。トイレに行く際は必ず看護師の付き添う必要があるので絶対に呼ぶよう指示を受ける。「クリニックの担当医がぴょんぴょ夫に手術が成功した旨を伝えに部屋に探しに行ったけど会えなかったと言っていたよ」と告げられる(手術ゾーンの扉の外で待っているべきではなかったようだ)。生理痛のような鈍痛が腹部にあるが、昼ごはんが提供されると聞き、喜ぶ。ぴょんぴょ夫分はデリバリーで別途注文

13:55 精神医療医(か心理学者?Psico…までしか聞き取れず。)が部屋に訪れる。食料が登場したのかと心を踊らせていたせいでちょっと気分が沈む。「今の心情はどう?」と聞かれ素直に気持ちを答えながらも、疑問点がたくさん湧いてきたので質問をたくさん投げかけてしまう。精神医療医(?)の担当外の話だったようで、「確認しとくね」で終わる。「とにかく気持ちを全部吐き出すことが大事だから。とにかく話して、悩み込まないことが重要」と教えてもらう

14:00 トイレに行く為、個室担当の看護師さんを呼ぶ。手術後からちょろちょろと出血が続いている為、股に当て布がされているが、用を足している間に新しい布を用意してくれた。看護師さん曰く、トイレに行きたくなるまでもう少し時間を要すケースの方が多いとのこと

14:05 精神医療医(?)さんとの会話中に運ばれて来ていた昼食を食べる。メニューは塩分濃いめのCarne Seca(干し肉)を使ったミートソースとジャガイモ(かタピオカ芋)のピューレ、そしてライムゼリーの3つ。そして2リットルの水のペットボトル。健康食には見えなかったがぺろっといけた

14:40 昼食を下げに来てくれると同時にデザートが運ばれてくる。メニューはハーブティーとシフォンケーキとチョコレートソース。こちらもぺろっといけた

14:55 新たな看護婦さんが登場。先ほど精神医療医(?)に投げた質問の答えを教えてもらう。生理痛の痛み止めを飲むか?と聞かれ、軽食後に飲むことになった。

15:50 入院の個室担当の看護婦さんが生理痛の痛み止め“Buscopan”を持って登場。彼女曰く、ブラジルでは生理痛があると殆どの人がこれを飲んで鎮痛させるとのこと。日本でも生理痛の痛み止めを飲んだことがなかったので初めて飲んだ。効いた

17:10 また新たな看護婦さんが処方箋を持って今後の流れ等を説明しに登場。手術前に聞かれて答えられなかった、血液型のRhについても教えてもらう

17:30 眠気が来て寝てしまう

17:50 個室の担当看護師さんがナプキンをプレゼントしに来てくれる。その際に右腕についた注射針がいつ取れるのかを聞くと、「あ、取らなきゃね」と言って針を抜くためのキットを取りに戻った(本当はどのタイミングで抜く物だったのだろうか。そもそもあの針はなんの為に刺してあったんだろう)

17:55 針を抜く為のキット(医療用手袋、針置き、止血グッズ等)を持ってきて抜き、止血してくれた

18:15 退院するよう受付から電話

18:30 スケスケガウンから着替え、部屋の鍵を個室担当の看護師さんに返し、退出。入院前に支払った場所にて追加料金の有無を確認し、領収書を受け取り、正式に退院

手術前は、お腹も空き喉も乾いた状態で何のやる気も起きず、約1時間半もの間、時間を持て余します。上述の通りwi-fiもありましたが、動画を視聴するには不十分でした。予め動画や本をダウンロードしておいたり、他にも時間を潰せるものを持っていくといいかもしれません。

上記でも触れましたが、医者が同行者に手術の結果を伝えに個室に来てくれるので、同行者は手術中は個室で待っていた方が良さそうです。手術ゾーンの外で待機していたぴょんぴょ夫は、ぴょんぴょ子がグースカ寝てる間も結果を知らされずにずっと不安を抱えたまま待っていたそうです。

術後は出血も続いているせいか、食べる以外にやる気が起きず、ボーッとテレビを観たり寝たりして過ごしていました。同伴者以外の訪問者もいなかったので、着替えることもせずずっと手術の際に着たウスウスガウンを着てベッドにいました。下半身は出血が続いている為当て布が施されるので、ガウンで過ごしたく無い場合は、上半身だけでもパジャマのような物を持って行くといいかもしれません。

また、提供された昼食が、日本の病院ではなかなか見かけなさそうな塩味濃い目のジャンキーなお料理(ぴょんぴょ子は問題なく完食できました)だったので、気になる方はお粥等を予め用意して持っていくか、食べたい物デリバリーを注文するのがいいかもしれません。

手術にかかった金額、支払い方法

手術費計R$13.200,00約264,000円

  • Pro Matre使用料:R$5.200,00
  • クリニック手配の医師等への報酬:R$8.000,00
    • 執刀医:R$5.500,00
    • 助手:R$1.000,00
    • 麻酔士:R$1.500,00

手術の前日(手術決行が決まった日)、Pro Matreの[手術+半日入院]の見積もり書がクリニック経由で送られて来ました。記載されている額はR$5.200,00(2021年8月のレートで約104,000円)。

この見積もり金額は、大まかに言えば“Pro Matreという施設や施設の器具の利用代金”であり、クリニックから当日現場へ派遣される麻酔士や担当医などへの報酬金額は含まれていません。

Pro Matreへの支払いの他にクリニックが手配した医師等へ別途R$8.000,00(約160,000円)支払いました。内訳は、執刀医(クリニック担当医)にR$5.500,00、助手にR$1.000,00、麻酔士にR$1.500,00。

つまり、合計するとR$13.200,00約264,000円)を手術に要したことになります。

Pro Matreからの見積もり額は、入院手続きの際にPro Matreへ支払いました。クレジットカードでの支払いは可能でした。

ちなみに、Pro Matreからの見積もり書には、「手術室の利用制限時間は2時間。それを過ぎると延長料金が発生する」旨が記載されていました。実際には約3時間ほど手術室に滞在したものの、延長料金は発生せずに済みました。めでたしめでたし。

厄介だったのがクリニックの手配した医師等への報酬の支払い方法です。

医者やクリニックによって異なりますが、ぴょんぴょ子のケースだと担当医師等が受け付ける支払い方法が小切手(chek)一択だったのです。

人生で一度も小切手を扱ったことがない上に、ブラジルでの小切手記入の際の細かいルール(数字をアルファベットで記載したり、um の前にHをつけたり…)を把握しかねていたので四苦八苦しかけました。が、結局は銀行で用意した白紙の小切手をクリニックに渡し、その場でクリニック側で必要事項や金額を書いてもらうことができたので、どうにかなりました。ちなみにぴょんぴょ子のケースでは、医師と麻酔士には各3枚ずつ(各金額を3分割)、助手に1枚、合計7枚使用しました。

もし小切手が必要になり用意するのが不安な場合は、ぴょんぴょ子のように記載は依頼してみるのも一つの手だと思います。受け取る側も、記載事項に不備があると換金が難しくなるので、依頼に応じてくれる可能性が高いと思います。

手術・半日入院の感想

手術自体は、優秀な医療チームの皆様のお陰で一瞬で終わったように感じることができました。緊張や不安に駆られるのは麻酔をかけられるまでの間で、麻酔にかかってからは意識が無く、医療チームの皆さんが頑張っている姿を見ることもなければ、自分にどのような処置がされているかを知る余地もありませんでした。有難いことに全く痛みを感じることがなく手術が成功していたようです。起きた頃には麻酔士の姿も見えなければ手術室の片付けも終わっていました。

痛みを感じたのは、麻酔の針が差し込まれた瞬間だけで、麻酔が切れて目が覚めた後(手術後)も意識がボーっとしており、痛みの感覚もありませんでした。ようやく生理痛のような鈍痛を腹部に感じるようになったのは、手術室から個室に戻ってこれたくらいのタイミングでした。

ぴょんぴょ子に割り当てられた個室の部屋は地下だったのか、そのフロアでは小蝿を2匹程見つけてしまい衛生状態を疑いました。が、流石に手術が行われた5階では小蝿の姿を見ることもなく、光が強かったせいかとても清潔に感じられて安心しました。

手術室に着いてから手術台に登るにあたり、緊張を紛らわせようとベテラン看護師さんがマスク越しでもわかる優しい笑顔で色んな冗談を語りかけてくれました。その優しさが本当に温かく、流産と伝えられてから一度も泣くことがなかったのに、手術への緊張と不安とで張り詰めていた何かがフツッと消え、目が潤ってしまう程でした。ただ、これが全く知らないポルトガル語で語りかけられていたらもっと不安になっていたかもしれません。一応は理解できた内容だったので、良かったです。

手術の時だけにかかわらず、Pro Matreで出会う看護師さん達からポルトガル語の単語が放たれても、わからないことは正直に「ごめんそのポル語どういう意味?」と聞けば、ほとんどの方がわかりやすく言い換えて教えたので、安心して過ごすことができました。

Pro Matreは、産院として利用されるのがメインです。その為、Pro Matreの入り口には新生児グッズを扱うお店があり、院内では出産直前の妊婦さんや、出産直後のママ、出産見舞いに来た親族や友達等、そして抱えられた新生児とすれ違います。実際、ぴょんぴょ子の手術の日は、流産手術を行っている患者はぴょんぴょ子だけで、それ以外は帝王切開や自然分娩の妊婦さんで手術室は埋まっていました。そして、手術室に移動するまでも、新しい命の誕生を迎える為の入院の個室の前を通ることになります。ブラジルでは、妊婦さんの個室の入り口に、生まれてくる子供の名前が書かれたデコレーションボード(placa maternidade)を飾るのが一般的です。要はこの可愛らしいボードを目にしながら、手術室に運ばれることになるのです。

お腹の中で育たなかった命を取り除くという自分の現状と相反し、自分の理想の光景を目の当たりにしながら手術室へ向かいますが、ぴょんぴょ子の場合はそれを目にしても嘆き悲しくなるなんて感情も無く、ただただ人生初の手術というものへの恐怖がつのっていました。手術が終わった後も、無事に手術が終わったことへの安堵で一杯で、落胆する心の余裕がありませんでした。もし同じ経験をされる方がいても、どうか落ち込まず、いつかは自分もこうなるんだと前向きに思いながら進めますように。

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退院後の流れについては次の③にてご紹介します。

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